今日も、C群はサル寄せ場まで出現してくれました。
ここ最近はC群に夕方5時までサル寄せ場付近に残ってもらい、朝もそこから出現してもらっています。
まぁ、それも山の中ににエサが少ない冬だからこその話しです。
きっと山の木々が芽吹く4月頃になるとB群もC群もサル寄せ場から離れて高崎山の山中や周辺へ足を延ばすようになるでしょう。
だから現在の毎日出現するというC群の出現の安定さは、私たち人間が作り出してる「かりそめ」のものでしかありません。
それでもこの冬の時季に毎日サル寄せ場へ出現し、サル寄せ場がサルたちにとっての安定した餌場であることを覚えてもらうことは大変重要です。
それを積み重ねながらサル寄せ場へ出現する習慣をしっかりと付けていかなければ、また夏の時季にC群は出現しないという事になりかねません。
C群が本当に安定して出現するにはまだまだハードルがたくさんあるという感じがしています。
それは、C群の朝の出現状況です。
サル寄せ場近辺に泊まるC群ですが、そこからサル寄せ場へ出て来ようとしないのです。
木に登りのんびりと過ごしながら最近山の中で餌付けをしている場所にすら近寄らず、もちろんサル寄せ場へ出現するという意思が感じられることもなく、ただじっと泊まったその場にいるのです。
職員がC群の呼びだしに行くとようやく数頭が集まる程度で、「サル寄せ場へエサを取りに行くぞ。」という気概がないようなのです。
人間でいう「ハングリー精神がない」とでもいう感じです。
昔のC群では考えられないことです。
昔のC群は朝早くからサル寄せ場へ出現し、その当時最大の勢力だったA群のエサを横取りしながら、A群からたとえ追い散らかされても餌を必ず横取りするというほどの図々しさ(図太さ)があったのですが、それがいつからか変わってしまっているのです。
昔のC群にはきっとサル寄せ場ではエサが食べられるという期待感とそれだけ大事な場所であるという認識があったのだろうと今振り返ると思うのです。
それが今のC群にはないように感じられるのです。サル寄せ場への期待とどうしてもそこでエサを食べたいという気持ちがない。
だからこそ、夏から秋にかけて少しでも山にエサがあるとサル寄せ場をめざさないようになっているのかもしれません。
このC群の変化になぜ私たちは気づかなかったのだろうか?
よくよく観察すればもしかしたらこの細かい変化にもにも気づいていたのかもしれない。
と私は思うことが良くあります。きっとサルたちは細かい変化を遂げているのでしょうが、人間がそれに気づかない。
それが積もり積もって現在のC群の出現状況の悪さや、B群の外遊につながっているのでしょう。
本来、動物園の職員は生き物である動物をしっかりと観察し、その動物の生態の変化(体調の変化)などをしっかりと受け止め対処する。
高崎山には1000頭以上の生きたサル(動物)がいるのに、その生き物の生命の大切さを無視しながら観察すべき人(その世話をすべき人)を減らしてきました。
そのツケが今になって回ってきたのです。
もっと早くサルたちのこの変化に気づいてあげられたら・・・。と悔やんでも元には戻りません。
とにかくC群については昔のサル寄せ場を常に必要としていた頃に少しでも近づくようにしなければならないのです。
次はどのようにしなければならないのか。どうすれば年間通して安定してC群が出現するようになるのか。将来的にC群を残すことができるのか。
まだまだC群についてのハードルはたくさんあります。
山の中のC群を見ながら、どうしたら良いのかを毎日思案しています。
とりあえす、現在のところはC群も安定して出現しサル寄せ場にも出現するという良い方向には向かっている(職員の対処はうまくいっている)という状況です。